SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

◇同じ屋根の下

————————————
————————————

——コンコン。

「美空? 学校行こう?」


ノックと共にドア越しに湧人の声がする。


「うん!」


新しいバッグを肩に下げ、あたしは部屋を飛び出した。


湧人の家に来て数日……


あたしの生活スタイルは驚くほど様変わりした。

ここは生活するには本当に何の不自由もない、贅沢すぎるほどの広い家だ。

五年前あたしが住んでいたマンションよりも、中は高級感で溢れている。


「ねえ、 部屋どう? まだ何か足りないものがあったら言って? すぐに用意するから」


「大丈夫。 もう十分いっぱい足りてるよ」


湧人が用意してくれた部屋はゲストルームと呼ばれる部屋だった。

湧人の部屋よりは少しコンパクトだけど、それでも使い勝手が良く、洗面台やシャワーまで付いている。


「良かった。 それで……落ち着かないとかは、ない?」


「うん?」


「ほら、前に言ってたから。 美空、白が苦手だって。 だから壁紙も替えてみたんだけど……。 さすがに真っ赤なのはどうかなって思ってさ、 だから美空の好きな水色に……」


「あ〜、」


言われてあたしは納得する。

あの部屋、かなりくつろげている。


「……なんか不思議。 前のとこよりソワソワしないし、ここが本当にあたしの家みたい。 湧人が近くにいるからかな? すごく安心してるんだ」


すると湧人がピタッと足を止める。


「……美空、 それ本当?」


驚きの後、嬉しそうに微笑んだ。


「……う、ん……」
< 202 / 295 >

この作品をシェア

pagetop