SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「…………」


あたしは文字が書かれた黒板の字をただボーッと見つめていた。

はっきりいって、今が何の授業なのか、先生が何を喋っているのか分からない。 

あたしの頭はぼやけている……


————!


また、昨日の出来事が頭に蘇ってきた。


……あたし……


あれから、湧人の様子が変わったように思う。

うまく言えないけど、なんか機嫌がいいっていうか……

今日は久しぶりに一緒に登校してきたけど、ずっとにこやかで、そんな湧人にあたしは落ち着かないというか……

ふわふわ地面から浮いてるような気分だった。


……また、 キスされた……


ふいに唇に意識が集中する。

湧人は優しい……

五年前も、いつも、いつだって湧人はあたしに優しいのだ。

ケガしたあたしに湧人はキスのおまじないをしてくれる。


……だけど、 なんでだろう……


キスされると胸が詰まって苦しくなる。

昨日は本当に大変だった。 今までにないくらい胸がいっぱいドキドキして……


……湧人……


考えていると、よりリアルな場面が再現された。


湧人がだんだん近付いてくる……


首が少し傾いて……


そして……


そして…………


「 あ————っ!」


大声と共にケシゴムを隣の佑影に投げつけてしまう。


「「「「……っ⁉︎ 」」」」
「……痛っ、 何しやがるっ!」


みんなが一斉にビクッとなって、佑影はあたしを睨みつけた。


「何事です⁉︎ 天使さん⁉︎」


「……あ〜、 なんでもない、 です」


「寝ぼけていたのですか? だめですよ、授業は寝る時間ではないのですから」


「……は、い……」


あたしはコクンと頷いた。
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