SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
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「どうしたの〜美空? なにかあった?」


休み時間、ニヤニヤしながらグリムがあたしに聞いてくる。


「……え、」


「だって明らかにおかしいもん。 王子と何かあったんでしょ?」


「……う、ん……」


「なになに? 何があったの⁉︎」


「……えっと……」


あたしは視線を泳がせる。 

そこへ、


「おい!」


佑影が話に割り込んできた。


「どうでもいいが、お前、浮つくにも程があるんじゃねぇのか!」


「……え?」


「注意力が散漫だと言っている! そんな状態でまたこの間のようなのに出くわしたらどうする! 役目だって今のお前には——」

「佑影! 声が大きい!」


「……っ、チッ、せめてもっと周りにアンテナ張っとけ! 最近酷いぞ、モノは失くすわ忘れるわ! よく転ぶわビショ濡れだわ……!」


「あ〜、 それは……」


知らない間に勝手にモノがなくなる不思議……

何故か廊下に糸が張っていたり、今も制服が湿っているのはさっき上から水風船が落ちてきたから……
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