SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

……あ。

生徒会長はすぐに見つかった。

一階の中庭へと続く長い廊下、途中の休憩所みたいな、雑にダンボールが積まれた場所で行き倒れている……


「……あの〜、」


……返事は、 ない。


「あの〜もしもし! 火事ですよ!」


適当にそんな事を言ってみると、パッと頭が持ち上がった。


「……⁉︎ ……ああ? お前……」


あたしを見るなり生徒会長はゲンナリとした顔をする。

その風貌は以前とはまるで違っていた。

ボサボサの髪、色艶のないくすんだ肌と不精ヒゲ……

やつれたような、やる気のないような、諦めたような、投げやりのような、全体がもうどうでもいい感じになっている。


「……あのさぁ、」


近付くと嫌なニオイが鼻をついた。

お酒とタバコと汗と生ゴミ……それらが発酵したような、なんともすごい悪臭に、あたしは思わず息を止める。


「……なんだ?」


うつろに見上げる生徒会長。


「……ああ、うん。 あのさぁ、お風呂に入った方が……いいよ」


あたしは、まずは思った事を口にした。
< 240 / 295 >

この作品をシェア

pagetop