SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


「大丈夫でございますか?」


見かねたように衣子が声をかけてくる。


「でも、もう三日目ですか……珍しいですね。湧人さまがあんなに怒るなんて……。 本当に何か心当たりはないのですか?」


「……あるにはあるけど、やっぱり何も分からないんだ。 一応謝ってはみたけど、何も答えてくれなくて……」


「……困りましたねぇ……」


「こんなこと初めてだ。 五年前だってこんな事……」


「……はい?」


そうだよ、こんな事は今までない。

ちょっとしたケンカっていうか、湧人がたまにツンとする事はあったけど、話せば許してくれてたし、すぐに分かり合えてもいた。

それなのに……



「あたし、湧人に嫌われちゃったのかな?」


「そんな事は……! はたから見ていても分かります! 湧人さまがどんなに美空さまを想われているか! たった一度の喧嘩で嫌いになるはずありません!」


「……でも……」


「もう少し時間が経てばきっと仲直り出来ますよ。 ですからあまり気を落とさずに……」


「……うん……」


本当に仲直り出来るんだろうか……

モヤモヤしたまま家を出る。

あたしも一人で学校へ行った。
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