花鎖に甘咬み
煩わしげに片目をすがめた真弓は、無駄のない動きで的確に、青葉さんの急所に肘を打つ。
「がは……っ」
クリーンヒットの一撃に、青葉さんは腰を折った。
容赦なくもう一撃、背中に落とすと、青葉さんは膝をつく。
「あとは倉科、お前か」
「……甘いな本城」
呟いた純圭さんの背後から、ぞろぞろと男たちが現れる。
状況から察して、〈白〉のひとたちなのだろう。
真弓ひとりに、両手じゃとても足らない数の男の人たちが一斉に向かってくる。
さすがに、卑怯だ。
なんの躊躇もなく襲ってくる彼らを、身を翻しかわし、隙を見て反撃する。そのかたわら、片腕でずっと私を守ったまま。
「女なんて捨てればいいものを。本城にとっては簡単なことだろ?どうして効率の悪いことをする」
ホワイトブロンドの髪の奥で、純圭さんが怪訝に瞳をゆがめた。
真弓は、答えない。
代わりに、純圭さんの脇腹に拳を突き立てた。
まともに食らっているはずなのに、純圭さんは顔色ひとつ変えず。
「いくらお前でも、これだけの数を相手するのは不可能だ。ましてや、ソレを守りながらなんて」
純圭さんの言う通りだった。
器用にいなしてはいるものの、私たちの回りにはぐるりと取り囲むように人垣ができている。北川の使用人に囲まれたときより、幾分も分厚い壁が一斉に牙をむく。
この壁を破るより、真弓の体力が尽きる方が、おそらく先だということは……私でも、わかる。