花鎖に甘咬み
「は?」
「知らないままでお気楽に生きてるなんて、ぞわぞわする」
「……」
重苦しい沈黙が一瞬、落ちて。
「……ちとせは、そういう女だよな」
はー……と吐息の音。
呆れたのかと思ったけれどそういうわけではなくて、真弓の表情には葛藤が浮かんでいた。
「真弓?」
「……いや」
妙に歯切れが悪い。
きょとんとすると、真弓はさっと表情を変えて。
「とりあえず、行くぞ」
「うん!」
「もう少し先に、予備の寝ぐらがある。狭いけどそこで一晩は明かせるはずだ」