竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「明日もいつ会えるかわからないラルフをずっと待ち続ける気か? 俺が代わりに聞いて、その用事を伝えておいてやる。付いて来い」
「え、でも──」
「さっさとしろ。俺をこの寒空の中長時間拘束する気か? お前と違って、俺に夜徘徊する趣味はない」

 低い声で告げると、ミレイナは戸惑いながらも恐る恐るジェラールの背後を付いてきた。
 ミレイナの髪色とそのおどおどした様子は、なぜかララを彷彿とさせる。思わず口元に笑みがこぼれそうになったジェラールは、慌てて表情を引き締めた。

 
 一方のミレイナは、前を歩くジェラールの後ろ姿を見つめた。

 濃紺の貴族服を着て前を歩くジェラールには、圧倒的な王者の貫禄がある。
 途中ですれ違った衛兵達がジェラールに気付き、頭を下げる。皆、後ろを歩くミレイナにも気付いていたようだったが、それを口にする者はいなかった。
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