竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 ジェラールから直々の命令ということで、改築は全てミレイナの希望通りに勧められた。
 前世で訪れた動物園で『行動展示』という、その生き物の生態に会わせた環境を作って自然な行動を観客に見せる手法を見たことがある。魔獣舎の魔獣は展示するわけではないが、ミレイナはこの考え方を少し真似た。

 フェンリルは岩山を登る習性があると聞き遊び場の一部に石を積んでもらったり、ラタトスクは木登りが好きだと聞いて元々生えていた立木はそのまま残してもらったのだ。さらに、一部には丸太を組み合わせて作った障害物なども設えらえた。

 順調に作業が進み、二時間後、昨日まではなにもなかった空間には、見事な獣舎専用屋外施設が出来上がっていた。

[みんな、出てきていいわよ]

 ミレイナの掛け声で、最初に獣舎から飛び出してきたのはやんちゃなシェットだった。続いてお転婆娘のエミーナが続き、最後に怖がりなイレーコと小さな体のラトがおずおずと後に続く。

[ミレイナ、見て、見て!]

 屋外施設をくるくると走り回るシェットが得意げに叫ぶ。
 三匹で追いかけっこをしていて、とても楽しそうだ。ラトは、いつの間にか屋外施設の木の上で寛いでいた。やはり、木の上が一番落ち着くのだろう。

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