竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 小さなときは絵本で、大きくなってからはロマンス小説での描写を見たことがある。それに、前世では映画でも見た。中近世ヨーロッパを思わせる、おとぎ話の世界。

 少し羨ましく思ってそちらを眺めていると、すぐ近くから「ミレイナ!」と声を掛けられてミレイナはハッとした。声のほうを向くと、メイド服姿のリンダが柵の向こうから手を振っている。

「リンダ。どうしたの? 今日は魔獣係をする日じゃないわよね?」
「なんか、メイド長がミレイナを呼んでいるわよ」
「え? 何かしら?」

 ミレイナは首を傾げる。

「さあ? その間、仕事変わってあげるから行ってきなよ」

 リンダは用事の内容までは知らないようで、肘を折って両手を空に向ける。ミレイナは、呼ばれる心当たりがなくて戸惑った。

「すぐに行くわ。伝言ありがとう」

 ミレイナはリンダにお礼を言うと、すぐにメイド長の部屋へと向かった。

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