竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
 ミレイナはそんなマノンに微笑み返した。暇だったから、なんて言いながら、本当はミレイナを心配して見にきてくれたのだろう。

 マノンはミレイナの一番の親友であり、ミレイナがウサギ獣人であることを知る数少ない一人だ。
 あの日魔法石の採集に行ったままミレイナが行方不明になったので、ずっと心配して探してくれていたようだ。
 先日ミレイナがひょっこり戻ってきた際には泣いて喜んでくれた。

 どうしていたのかとしきりに聞かれるので、『国境沿いのいざこざに巻き込まれて怪我をしたところをたまたま通りかかった竜人に助けられた』と曖昧に濁して伝えてある。
 マノンはそれを聞いてとても驚いていた。

「本当にいい人に助けてもらえてよかったよね。竜人がそんなに親切だなんて、知らなかったよ。野蛮で粗暴な人種って聞いていたからさ」
「そんなことないよ。私達と同じだったわ。少なくとも、私が知り合った人達は」

 ミレイナは曖昧に微笑んで答える。
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