竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
「悪いことをしてしまったわ」
「いいえ、悪くありません。調子に乗らせると、一日中居座ります」

 メイド長はミレイナの言葉をぴしゃりと否定する。メイド長は幼い日のジェラールの世話をしていただけあり、相手が竜王であろうとも容赦がないのだ。

 今、ミレイナはラングール国へとやってきてジェラールの妻となるべく礼儀作法や必要な教養の勉強をしている。結婚できるのは、これらが全て終わる一年後の予定だ。
 そして、ミレイナの侍女役はメイド長が務めてくれていた。

 今日はジェラールの婚約者として恥ずかしくないよう、公式の場に出る際に着るドレスを選びにきた。
 先日、ドレスなど着たことがないミレイナが不安を漏らすとジェラールが見立ててくれると言ってくれたのだが、どれを着ても『可愛い』としか言わないのではっきり言って全く役に立っていない。

「さあ、次のお召し物を」

 ミレイナは次にメイド長から差し出された、淡いブルーのドレスを見つめた。胸元にはレースとリボンが飾られ、腰の部分からスカートがふんわりと広がる。

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