竜王陛下のもふもふお世話係~転生した平凡女子に溺愛フラグが立ちました~
(これ、調印式のときにきたドレスと似ているわ。ジェラール陛下の瞳の色と一緒……)

 あのドレスがジェラールからの贈り物だと知ったのは、随分とあとになってからだった。
 ミレイナはそのドレスを一目見て気に入った。腕を通すと、体の動きによって裾が軽やかに揺れ、生地は薄水色から濃い水色と光の当たり加減で変化する。

「陛下、いかがでしょう?」

 ドレスを着終えたミレイナは、廊下の壁に寄りかかり腕を組んでいたジェラールの元にその姿を見せに行く。ジェラールはミレイナの姿を見て、驚いたように目を見開いた。

「似合いますか?」

 ミレイナは見よう見まねの所作でスカートを摘まみ上げると、おずおずとジェラールを見上げる。ジェラールは上から下まで視線を走らせ、破顔した。

「半獣でメイド服姿のそなたも愛らしいが、着飾った姿もまた素晴らしいな。美の女神も嫉妬するほどだ」

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