僕が監禁されたのは、幽霊の館でした
『……悠真くん……』

「ユルサナイ、ユルサナイ……」

……紅太がいなくても、声が出るし、僕が悪霊に取り憑かれたことも分かってる。でも、何もかもどうでも良かった。

「……っ!」

優しくて暖かい空気が、僕を包み込んだ。健が、僕に抱きついてる。無言だけど、健の言いたいことを理解した。

「……ごめんね。ごめん……」

「……あれ、私……一体何をして……?」

振り向くと、目に光の灯った美咲がキョトンとした顔で、僕を見てる。

「何で、悠真くんが……?」

「……何?人を勝手に監禁しておいてさぁ……」

僕が冷たくそう言うと、美咲は「え?」と首を傾げた。僕は、すべてを話す。

「……そんな……私、人殺しを……嘘だ……」

「嘘じゃないよ。これが証拠だよ」

健の大事にしてたキーホルダーを見せると、美咲は絶望したような顔で、床に座り込んだ。

『……悠真。俺が、美咲の中にいた悪霊を払っておいた……』

そう言って、健はニコリと笑うと消えてく。……だから、美咲が正気に戻ったのか。

「……私、私……」

泣き続けてる美咲は、ナイフを手に取る。そのまま美咲は、喉にナイフを突き刺した。

僕は、美咲に近づくと喉に刺さったナイフを引き抜く。

……健を失った今、僕は生きてく意味が無い……だったら、死んだ方がいい。

僕は自分の体にナイフを突き刺して、一気に引き抜いた。
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