❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
第二部-――圓満―――

第一章-――新年-――

今、彼女は夢を見ていた―――。それは―――智也と喧嘩してしまう夢で、彼女は泣いていた。
―――どうして・・・俺を見てくれない?何故・・・俺の気持が分からない。
そう―――夢の中で怒られ、菜緒は―――言葉を出せなかった。
―――何故、口が―――体が動かない。彼女は―――菜緒は、じわっと涙が浮かび上がり、『―――誰か・・・誰か・・・助けて―――。』
彼女は思わず助けを呼ぼうとしており、だけど、菜緒は―――真っ暗中―――一人になった。
―――真っ暗で、人っ子一人いない。
『―――あぁぁ・・・自分は、一人・・・なんだ・・・誰も助けにこない―――ずっと、一人・・・どうして?―――私は・・・』
その時、彼女は―――菜緒は泣き出すと、ゆっくりとしゃがみ込んだ。こんなに、一人が寂しいなんて、思っていなかった。自分には―――誰も、寄ってこない―――寂しい―――寂しい―――。
―――菜緒・・・
菜緒-――
『―――誰?誰?』
思わず声をあげると、呪縛が解けたように、いつの間にか、走っており、菜緒は泣きながら、助けを求めていた。
『―――菜緒・・・菜緒・・・・』
―――大丈夫か?
―――大丈夫?
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