❀🍞Pan・Rouge🍞 Ⅰ❀
菜緒は思わず抱きしめた。麻衣は泣いており、彼女にはっきりと言った―――。彼女は『―――放してよ・・・あんたなんか、嫌いよ―――。』と泣き叫んだ。もう結婚している身である為、彼女は悔しさに泣き叫んでいる。
―――大好き―――
彼女の口から、とんでもない事が出て来た―――。彼女はこうなったのは、周りの所為だ―――。
麻衣は施設で虐められており、きっと救いを智也に求めていたのかもしれない。自分が可哀想だと思い、彼に救いを求め、彼に執着しているのかと、菜緒は思った―――。だから、彼女は―――菜緒は抱きしめると、『―――貴女・・・余程、辛かったのね?でも・・・大丈夫―――貴女は一人ではないから―――。私達がいるから―――。由利と紗枝と智也がいるじゃない。そんな風に、悩まないで―――。』
彼女はハッと顔をあげると、いつもよりずっと優しい笑みを浮かべている、菜緒の姿があった。この笑顔に―――麻衣はとても救われ、彼女の胸に頭を預け、精いっぱい泣き叫んだ―――。
彼女はポンポン、と頭をさすると、周りの人たちは―――吃驚したように見やり、その様子を、見ていた―――。
『―――貴女・・・何故・・・私を救ってくれたの?貴方に・・・意地悪したのに―――。私が憎いんじゃないの?どうして―――あの時、泣いて帰ったくせに―――』
その言葉に、彼女は『―――私が・・・貴女の立場だったら、そう考えたの?きっと辛い事があったんだって―――。』とはっきりと言った―――。
―――だから、ありがとう―――
< 31 / 212 >

この作品をシェア

pagetop