やがて春が来るまでの、僕らの話。






「ハァハァ…」

「…ハァ…、ハァ…」


学校に着く頃には二人して息が上がっていて、玄関に座り込んでぐったりとうな垂れた。


「あれ、なに二人して疲れきってんの」


爽やかに現れた倉田先輩になんて構っていられない程、朝から体力は限界だ。


「おま、…ハァ、ハァ…まじふざけんなよ…」

「…、ハァハァ…こっちの、セリフだしっ」


なんで朝からこんなに体力使わなきゃなんないのっ!


「あ、志月おはよー」

「!」


頭上から聞こえた先輩の声に、荒い息がピタっと止まった。


「お、噂のやつらがいた」


ぐったりしている私たちを見て、若瀬くんが苦笑している。


「噂って?」

「二人相当目立ってたみたいだよ。外の女子たち騒いでた」

「え"…」


柏木くんも女子人気はかなり高いって、陽菜が言っていた。

つまり私、目をつけられたんじゃ……。


「まぁ気にすんな。なんかあったら助けてやるから」


そう言って笑ったあと、若瀬くんと倉田先輩は行ってしまった。

玄関に取り残されたのは、ぐったりしている私と柏木くんの二人だけ。


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