やがて春が来るまでの、僕らの話。



若瀬くんのすこぶる低い声が、私に向かう。


「ハナエが雪だるま作りたいっつったんだろ。なに突っ立ってんだよ」

「あ、そっか、ごめん」


そこにすかさず、柏木くんが加わってくる。


「温泉まんじゅうのこと考えてたんじゃない?まんじゅうみたいな顔してるし」

「ちょっと、柏木くん!」


苛立って、雪玉を作ってボスボス柏木くんに投げつける。


「いって、テメ、」


反撃に出た彼に負けないよう、素早く何個も投げていく。


「女の子に向かってまんじゅうみたいって!」

「まんじゅうのなにが悪いんだよ!丸くてムチムチしてて定番だろ!」

「どんだけ喧嘩売ってるわけ!?謝ってよ!」

「お前がまんじゅうに謝れや!」

「ちょ、それ雪合戦になってるから」


三人が苦笑いを向ける中、何個も何個も投げつけながら、頭の中では陽菜と柏木くんのことを考えていた。


小六から付き合っている二人には、きっと深い絆がある。

私の入る隙間なんてどこにもない。



わかっているのに、でもどうしよう。


私、



陽菜の好きな人を、好きになっちゃったよ……



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