やがて春が来るまでの、僕らの話。
数日後、「雪だるま作ろー!」という陽菜の誘いで、私たちは柏木くんの家の庭に集まった。
「寒ぃ…」
ブツブツ文句を言う柏木くんは、猫のように背中を丸めて動かない。
そういえば結局、この町で起きた事件の話し、聞いてないな。
でもあんな風に言われてしまった以上、聞く勇気はもうなくなっている。
「そうだ、お土産の温泉まんじゅう買ってきたよ」
「え、温泉まんじゅうって定番すぎない?」
「定番バカにすんなよ、定番ほど美味いもんはない!」
庭先で楽しそうに話す若瀬くんたちを、一人ぼんやり眺めていると。
「ハナエ、元気ない?」
「えっ」
陽菜が顔を覗き込んできて、びっくりするのと同時に胸が痛んだ。
「げ、元気だよ」
「ほんと?」
「うん」
本当は考えていた。
男の人と付き合ったことなんてないからわからないけど、この間の私と柏木くんがしたこと。
抱きしめられて、手を繋いで帰ったこと。
あれって多分、しちゃいけないことだから。
……どうしよう。
きっと陽菜を傷つけることをしてしまった。
そんなこと、本当はしたくないのに。
でも私、どうしよう。
私、柏木くんのこと、
「やる気あんの?」
「!」