乳房星(たらちねぼし)・ドラマノベル版

【サボテンの花・その2】

1月28日の一件について、名古屋の営業所の人が『取りやめになったからもういいよ。』と(ナマクラ)課長さんに電話で言うた。

結局、お見合いバスツアーは取りやめとなった。

営業所のOLさんは『農業従事者や漁業従事者の人よりも3高(高学歴・高収入・背が高い)の人じゃないとイヤ!!』とか『定休日がない人とは結婚したくない!!』などとグダグダ言うてた。

たまりかねた営業所の人は、泣く泣く中止を決断した。

私・イワマツは『日本の国の恋愛結婚はゼツボーだらけ…希望なんか全くない。』とつねづね言うてはるけど、これ正論ですよ。

ちいちゃい時からの幼なじみで、幼稚園・小学校・中学校・高校から大学まで一緒に通って、その中でお付き合いをして、プロポーズ~そして結婚…

挙式披露宴でみんなに祝福されて幸せいっぱい…

私自身としては、そう言ったスタイルは似合わない(波止浜の施設で暮らしていた時分、好きな女の子はマァマ(施設長さん)となみさんしかいてへんかった。)

『それじゃあ、お見合いすれば?』と言うけど、それはどういう意味や?

お見合いしたから100パーセント結婚できると言うけど、そないに言えるコンキョはどこにあるねん?

あるいは『結婚相談の店やお見合いのイベントに参加すると近所の人からなんぞ言われるけん…』言うて、じっと動かずに待ちなさいと言うのもどーかしとるわ…

おやごさんは『じっと待っていれば白馬の王子さまが自然に迎えに来るから…』とか『世話好きのおとなりさんに頼んでいるからどーにかしてもらえる。』などと言うてノンキにかまえている。

せやけん、日本の国で恋愛結婚することに希望がないと言うことや…ちゃいまっか?

まあ、独身経営者で通して行くのも悪くないかなぁ…とも思とるけど(ブツブツ…)

話しは変わって、1月30日の午前11時半頃であった。

たつろうさんの実家のテレビが置かれている居間に政子六郎夫婦と和子の3人がいた。

3人は、三重テレビで放送されている番組をみていた。

テレビの画面にCMが映っていた。

松山市に本社がある不動産販売会社(2018年に会社更生法によって倒産した)の分譲マンションのCMであった。

デッキチェアにもたれてラジオを聴きながら水辺でたわむれる妻と小さな娘を見守る夫…

幸せいっぱいの家族の映像とともに、チューリップの歌で『サボテンの花』が流れている。

夫が水辺にいる妻を抱き上げるシーンが映っている時、ぐてーと寝っ転がっている六郎はあつかましい声で『お前もああ言う家庭を持てよ。』と和子に言うた。

和子は『そんなこと言われても困るわよぉ~』とハンロンした。

政子はあつかましい声で『それじゃあ、なんで習い事せえへんの?』と和子に言うた。

ブチキレ起こした和子は、テレビのコンセントを抜いて画面を消した。

(ドカドカ…ピシャッ!!)

和子は、居間のふすまをピシャッとしめて出て行ったあと、自分の部屋に閉じこもった。

イカクされた政子は、オタオタおたついている。

ぐてーと寝っ転がっている六郎は『白馬の王子さまは、いつになったらうちに来るのか…』とブツブツ言いながら鼻くそほじっていた。

たつろうさんの実家の家族は、どこのどこまで無関心を通す気なのか(ブツブツ…)
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