超人気アイドルは、無自覚女子を溺愛中。





「ごちそうさまです。今日は本当にありがとうございました」

「じゃあね」

「また、撮らせてね」



いろいろな声に笑顔で返し、頭を深く下げてから部屋を出た。


けどすぐにまた背を向けたドアが開く音がする。




「では、僕もここで。いきなりお邪魔してすみません。また撮影のときにはよろしくお願いします」



振り返ると颯くんがスタッフさんに挨拶をして出てきたところだった。

丁寧にドアを閉めてわたしの視線に気づく。


目が合うと優しく微笑んでくれた。



マスクとメガネをしてわたしの隣に並び、一緒にお店を出る。




「びっくりした」

「うん。ほんとたまたま同じ場所で食事してて、藍原くんがいるって聞いたからゆきちゃんもいるかもって」

「颯くんさっきいじわるでした」

「仕方ないじゃん。おれだって気が気じゃなかったんだもん」



声のトーンで拗ねているのがわかる。

そうだよね。
成り行きとはいえ、颯くんを不安にさせるようなことをしてしまった。





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