前世で生き別れた夫と、来世で再び会いました。

前世の夢

 私は幼い頃から、夢で前世の記憶が(よみがえ)ることがあった。

 あくまで断片的なものだったが、幼い私の頭には常に引っかかっていた。

 それは、幼い頃には幼い頃の記憶が。

 そして最近は…成長して、私には彼氏ができていた。

 幸せそうにしているところが見えた。

 今の状況と、全く違う夢。

 それは一時の幸福となり、そしてその後、妬ましくなる。

 前世の記憶は、そんなものだった。



 そして、今朝の夢。

 前世の私───旧姓は藤崎(ふじさき)桜華(おうか)といった───は、柳井(やない)怜菜(れな)と結婚し、名字を柳井に変えていた。

 その後、すぐ。

 私が何者かに連れ去られ、怜菜との生活は短く、儚いものとなった。

 その犯人は、岩代(いわしろ)(とおる)と名乗っていた。

 目が覚めたとき、私は冷や汗をびっしょりとかいていた。

「……はぁ…」

 今夜の夢の予想が、ついてしまった。



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