センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人

葉月が働く 設計事務所と 

俺が働く 測量事務所は

ずっと 取り引きがあって。


俺は 葉月が 入社する前から 

設計事務所に 出入りしていた。


「今年の新卒は 女の子だよ。」

「へぇ。続きますかね?」

「大丈夫だと思う。しっかりした 良い子だから。」

「所長 美人ですか?」

「もちろん。俺は ビジュアル重視だからね。」

葉月の入社前 俺は所長と 

そんな話しをして 笑った。


数日後 設計事務所を 訪ねて。

「工藤君。新しく入った 町田さん。これから 工藤君と 絡むこともあるから。色々 教えてあげてね。」

所長に 紹介された葉月は

「はじめまして。町田です。よろしくお願いします。」

俺に 定型文のような 挨拶をした。


思わず クスッと笑う俺を じっと見つめる葉月。


一目惚れだった。


まだ 学生っぽさが 抜けなくて。

着慣れない スーツが 初々しくて。


スラっとした 体形で 

スッと背筋を 伸ばしていた葉月。


綺麗に整った 顔立ちなのに

あまり化粧っ気がなくて。


健康的で 男性に 媚びない感じに とても惹かれた。


「こちらこそ よろしく。緊張してる?」

俺が 笑顔で聞くと 葉月は 少し笑って

「はい。」と頷いた。


「大丈夫。じきに慣れるから。頑張ってね。」

「ありがとうございます。」

葉月は 耳に心地良い アルトで答えた。






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