センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人

昨日 所長に聞かれて カンナのことを 

初めて誰かに 話すことができた俺。


俺の 長い話しを 静かに聞いていた所長は

話し終えて フウッと息を吐く俺に 言った。


「町田さんに 今のこと ちゃんと話した?」

俺は 顔を伏せて 首を振る。


俺が カンナを 拒否できないことで

葉月は とても 苦しんでいたのに。


「どうして ちゃんと 説明しなかった?」

「言えなかったんです…どうしても。」

「町田さん 辛かっただろうなぁ…自分と 元カノを いつも比較して。工藤君が 元カノの所に 行くたびに 負けたと思っていたんだよ?」

「まさか…俺は カンナに 気持ちなんて 全くなかったのに。」

「だったら 全部話して 町田さんと一緒に 考えれば よかっただろう?工藤君が やっていたことは ただの 自己満足で。結局 誰のためにも なってないんだよ。」

「そうですよね…」

「どっちにも 良い顔して。責任逃れ してただけだろ?元カノのことも 本気で心配するなら 突き放すことが 愛情なのに。最後まで 面倒見る気も ないくせに。いつまでも その子を 切り捨てないから。その子だって 諦めきれなくなるんだよ。」

「俺…本当に 情けないです…」

「言っておくけど。工藤君が 今のままなら 町田さんは 預けられないからね。」

「所長。」

「町田さんは うちの秘蔵っ子なんだから。町田さんに 何かあったら 工藤君 出入り禁止だからね。」

「俺 葉月に 謝って。ちゃんと話します。」

「もう 遅いんじゃない?」


所長の言葉は 俺の胸に 深く刺さった。




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