センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人

”人身事故で 電車が止まっちゃって。迎えに来て”

”ATMで 暗証番号間違えたら ロック掛かっちゃたの。タクシー代なくて 帰れないから お金貸して”

”アパートの排水が 詰まってるみたいなの。見てくれる?”

”近くで 騒いでる人がいて すごく怖いの。奏斗 来て”


それからも カンナは 忘れた頃に 俺を呼び出す。


大学生の頃は 痩せたり太ったりを 繰り返し

カンナは 不安定だったけど。


就職した頃から 落ち着きを 取り戻したようで。

俺は 少し 安心していた。


それでも 俺は カンナを 拒否できなかった。


どうでもいい事で まるで 俺を試すように

年に 数回 カンナに 呼び出され続けた。


だいたい 俺が駆け付けると 解決していて。

俺は 無駄足になることを 承知でも

行かないでは いられなかった。


義務? 責任? 愛情はないのに…

ただの 自己満足かもしれない。


俺は できるだけのことを していたって。

カンナに 何があっても 俺のせいじゃないって。


いい加減 俺だって 嫌になっていたけど。

カンナに 呼び出されると 必ず

俺の脳裏には 痩せたカンナが浮かぶ。


カンナを 壊したのは 俺なのか?


俺は いつまで カンナに 従わなければ ならないんだ…

カンナを 拒めない自分が 情けなくて。









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