俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】
私が唯一気が抜けるのはここの道だけなのかもしれないなあ、なんて考えながら足を進める。


生い茂った草木が風になびいて、気持ちよさそうに揺れて、彼岸花、リンドウ、キク、そして金木犀の香りが私の鼻腔をくすぐる。

柔らかい風が私の頬を撫でて通り過ぎていく。セミの鳴き声も、虫の鳴き声も全部聞こえてきて、人の音じゃなくて自然の音が心地よかった。



息が吸いやすい、呼吸がしやすい。相手の顔を窺わないで歩くことができているけれど、そんな時間はあっという間に壊されて、長くは続かない。


10分くらい歩いて着いたところは私が暮らしているアパートだ。正直綺麗とは言えないし、壁にヒビが入っているし、剥げているし、駅のように所々サビが見られる。
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