タイムトレイン
第1章

プロローグ

ずっと独りだった。
学校で話す相手もいない、家に帰ればそこには両親の生活の抜け殻だけが残っている。
私から物音を発さない限り、永遠に静寂に包まれている家だった。
私はどこから間違えたんだろう。
中学だろうか。あるいはもっと前か。
あの時、早く家に帰っていれば。そうしたら、あの人は……。
考えても悩んでも出てくるのは後悔と自責の念だけ。
もう何をするのも嫌になってこの世界から逃げ出したくなった私は、無我夢中で家を飛び出した。
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