解体


朝、ゆうが俺の頬を叩いていた。


効果音をつけるなら、「ぺちぺち」だな。


「...なんでしょう?」


「......。」


そう聞けば、叩くのを止めて、俺の腕と腕の間


つまり、からだをくっつけるようにして


布団に潜ってきた。


「.....っ。だめだ。これ。」


顔を隠しながらそう言うと


ゆうが慌てて出ようとしたから


抱き締めてやった。


もう我慢するもんか。


ゆうが少しからだを震えさせていたから、


「大丈夫ですよ。怒ってません。


怖いこともしませんよ。大丈夫です。」


「......。」


そう言えば、ゆうは頷いた。


震えも止まってきた。


そんなとき、腕の中にいるゆうと目があった


つまりゆうは、上目遣いなわけで


さっき我慢しないと決めたから。


我慢しないで、おでこにキスをした。

< 54 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop