溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「いったい、どうして。私、なにかやらかしましたか……?」

梨乃に思いあたることはないが、もしかしたら、と目を見開いた。

「あ、侑斗さんの婚約者として認めないと面と向かってはっきり言い渡される……とか」

それしか考えられないと梨乃はひとり頷いた。
単なるいち従業員の梨乃が白石家に嫁ぐような奇跡が簡単に起きるわけがない。
やはり自分は侑斗にはつりあわないのだと、梨乃の胸はひどく痛んだ。

「そっか……」
「なに勝手に気を回して落ち込んでるんだよ」

力なくうつむいた梨乃の頬を、侑斗は苦笑しつつ手の甲でするりとなでた。

「俺の結婚相手は俺が決めるし、万が一諒太が横槍を入れるなら梨乃を連れてフランスのホテルに異動するから安心しろ」
「……えっ」

侑斗の言葉に、梨乃は顔を上げた。

「あっちのホテルを軌道にのせるのも楽しそうだからそれもありだな。それより、諒太が梨乃を呼び出した理由はクリスマスの件だ」
「あ……あ、クリスマス、ですか」

梨乃はホッと息を洩らした。

「この間木下部長が言っていたショコラティエの件ですね」

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