溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「まさか女性たちから睨まれたり聞こえよがしに嫌味を言われたり、食堂に入った途端女の子たちから視線を向けられて居心地が悪かったり……なんてことはないですね、さすがに」
 
梨乃は思わず勢い込んで口にした言葉をごまかすように笑うが、侑斗はため息をひとつ吐き「そんなにひどかったのか」と顔を歪めた。

「俺が気を付けるべきだった。諒太からこの写真を見せられたとき、梨乃の様子が気になったんだけど俺にもなにかと面倒なあれこれがあって出遅れたな。悪かった」
「面倒な? やっぱり写真のせいで仕事に影響が?」
「いや、この写真だけが理由じゃない。諒太が社長に就いて以来慌ただしいのもあるし本格的にフランスに進出する件もあって仕事に集中したいんだけど、このところ見合いの話がいくつも持ち込まれてわずらわしくて仕方がない」
「え、見合い?」
 
予想外の言葉を耳にし、梨乃の声は裏返った。

「そう。諒太が結婚してからはとくに多い。白石の名前はよっぽど魅力的らしいな」
「それは、そう、ですね。たしかに魅力的だと思いますが……お見合いですか」

白石家の御曹司だ、お見合いの話が持ち込まれるのも当然だろう。
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