ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「山田支店長の融資は以前から問題になっていた。
突破の『宝和薬品』に融資する金なんて一銭もないぞ。君が支店長にカラダを捧げても、ヤラれ損だ」

父の会社は『実破』・・・既に『帝和銀行』の中では『実質破綻先』として分類されている。法的には経営破綻に陥っていて、再建の目途も立たない。

きっと、壬生さんの言うある人って…目の前の頭取だよね。

私はチラチラと頭取を盗み見た。

「さっきからジロジロと俺の顔見てるけど…何?」

こんな場面、以前にもあったような・・・
私はデジャブを起こしていた。


「いえ…別に…それよりも壬生さんに何をオーダーしたんですか?」

「君と同じキャラメルマキアートだ」

頭取の顔は一見冷たそうに見え、とっつきにくそうな雰囲気だけど、話せば意外と物腰の柔らかい優しい男性でホッとした。


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