ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「純也さん・・・」

私は照れ臭くミツバチの羽音のような声しか出なかった。

「ありがとう」

彼はそんな小さな声でも満足していた。

夜の公園を出て、腕を組んで雑踏の中を歩く。今だけは恋人。

「出張から戻ったら、また一緒に食事をしよう」

「はい」

彼は通りに出て、タクシーを停めようと手を振った。
車の波から一台のタクシーが出て来て、私達の前に停まり、後部座席のドアを開く。
私が車内へと乗り込むのを確かめるとそっと彼はドアを閉めた。

こんなにも帰りたくない夜は初めてだった。

彼と次に会えるのは一ヵ月先・・・

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