ONLY YOU~過ちの授かり婚~
テーブルクロスは暖かみある上品な深紅色。
テーブルの真ん中のキャンドルの光が彼の顔を優しく照らしていた。
「乃彩の近況はどう?」
「あ…決算期だし、忙しいわ」
親子で金策に奔走しているとは言えなかった。
スモークサーモンのミルフィーユ仕立てが運ばれて来た。
切り分けて食べるのが勿体ない芸術的な前菜。
私はナイフとフォークで一口サイズに切り分けて、口に運んだ。
「なぁ?乃彩」
不意に呼ばれ、肩が一瞬にピクッとした。
「俺達の婚約取り消さないか?」
「えっ?」
私は彼の言葉に思考をフリーズさせる。
「会社…経営破綻の状況ではないけど、経営難だって…貸出金だって延滞してんだろ?」
「それは…」
「俺が探ったワケじゃない。
俺と乃彩の婚約を知る同僚が調べてくれた。この三月は、ウチが貸し渋る月だ。
銀行は『雨に濡れている者に傘は差さない』
慈善事業じゃないからな」
そんな言葉は徹さんの口から訊きたくなかった。
大手メガバンク『帝和銀行』から融資確約が取れなければ、他の金融機関からはそっぽ向かれ、会社は倒産する。
さっきまで光り輝いていた薬指のダイヤのリングは急激に煌めきを失っていった。
テーブルの真ん中のキャンドルの光が彼の顔を優しく照らしていた。
「乃彩の近況はどう?」
「あ…決算期だし、忙しいわ」
親子で金策に奔走しているとは言えなかった。
スモークサーモンのミルフィーユ仕立てが運ばれて来た。
切り分けて食べるのが勿体ない芸術的な前菜。
私はナイフとフォークで一口サイズに切り分けて、口に運んだ。
「なぁ?乃彩」
不意に呼ばれ、肩が一瞬にピクッとした。
「俺達の婚約取り消さないか?」
「えっ?」
私は彼の言葉に思考をフリーズさせる。
「会社…経営破綻の状況ではないけど、経営難だって…貸出金だって延滞してんだろ?」
「それは…」
「俺が探ったワケじゃない。
俺と乃彩の婚約を知る同僚が調べてくれた。この三月は、ウチが貸し渋る月だ。
銀行は『雨に濡れている者に傘は差さない』
慈善事業じゃないからな」
そんな言葉は徹さんの口から訊きたくなかった。
大手メガバンク『帝和銀行』から融資確約が取れなければ、他の金融機関からはそっぽ向かれ、会社は倒産する。
さっきまで光り輝いていた薬指のダイヤのリングは急激に煌めきを失っていった。