ONLY YOU~過ちの授かり婚~
川瀬徹は我が銀行の赤坂支店の融資担当者。

乃彩の父親は『宝和薬品』の社長。最近、資金繰りが良くなく、融資担当先の池袋支店では『実破』に分類されていた。

「ご苦労だった。壬生。下がっていいぞ」

「純也が特定の女性に興味を持つなんて・・・初めてだな」

「別に…『宝和』は山田支店長の融資担当先だ…利用出来ないか…調べただけだ」

「で、この赤坂支店の川瀬徹は??」

「あ・・・それは…今度の東南アジア出張の通訳として同行させようかと」

「通訳??それなら現地の行員に頼めば…」

「まぁ、彼は色々と優秀な行員のようだし」

「・・・俺のように自分の味方に付けようと言う魂胆か・・・」

「ん、あ・・・まぁな」

乃彩の男だった川瀬徹がどんな男か知りたいなんて…壬生には言えなかった。

俺はどうかしている。



_________
____

< 66 / 196 >

この作品をシェア

pagetop