ONLY YOU~過ちの授かり婚~
時刻は夕方の十八時半。
大渋滞でなかなかタクシーは前に進まない。
ようやく市街地を出たと思えば、高速道路付近の入り口も渋滞していた。

俺はスイス製の腕時計を覗き、額に汗に滲ませる。

「このままでは予約便に間に合わないかもしれない・・・」

「バイクタクシー。乗っていくか?」

二人組の若い男たちが俺達のタクシーに横付けして、英語で問いかけて来た。

川瀬が窓のドアを開けて応対した。

「!?」

ガスの抜けたような音が車内に響き、硝煙の匂いが漂った。


バイクのタンデムシートに乗っていた白いTシャツの男が至近距離から発砲して来た。

俺は慌てて自分の持っていた長財布から有り金を全部渡した。

男たちはその札束を持って、逆方向へと逃走する。

「川瀬!!?大丈夫か?川瀬!!」

心臓を撃ち抜かれた川瀬は意識がなかった。

俺は必死に彼の胸の辺りから溢れる血を止めようと上着を脱ぎ、傷口を押えた。

みるみる彼の血で俺の麻のジャケットは赤く染まっていく。



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