ONLY YOU~過ちの授かり婚~
「ちょっと可愛いからって…鼻の下伸ばして嫌な感じ。貴方って、男を取り入るのは上手ね、蓮見さん」

「私は別に何も・・・」

愛奈さんはコーヒーのカップソーサーを置くとさっさと給湯室にトレーを直して、秘書室に戻ってしまった。

「まぁ、気にしないで・・・」

「はい・・・コーヒー頂きます」

私は愛奈さんの淹れたコーヒーを口許に運ぶ。

コーヒーの芳ばしい香り。

いつもなら、いい香りに思えるのに、今日に限って吐きそうになってしまい、思わず飲まず、ソーサーにカップを戻した。

「どうしたの?」

「いえ・・・」

「毒は入っていないと思うよ」

各務社長は冗談を飛ばし、コーヒーを美味そうに啜った。

「昨日、何だか飲み過ぎたも」

「蓮見さんって酒飲むの?」

「あ、はい・・・」

「意外だな・・・じゃ今度、飲みに行こう」

私は各務社長に強引に飲みに行く約束をさせられてしまった。
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