神様にも祝詞 かみさまにものりと
「食べる?」
甘い匂いがして顔を上げた
「コレ…リト、好きでしょ」
鈴カステラ
ジンがひとつ摘んで私の口に近付けた
「うん…ありがと…」
優しくて甘い味が口に広がった
「おいしい?」
「うん」
涙と混じって
甘じょっぱい味がした
懐かしい味
前もジンと一緒に食べた
私が小さい時
お祭りで転んで泣いて
その時食べた鈴カステラ
同じ味がした
ジンはあの時
私をじっと見てた
「リト、いたくない?
だいじょうぶ?
もぉいっこたべる?
おいしい?
おいしいね!」
って、心配そうに
私の口にカステラを入れてくれた
ドキ…
ドキ…
ドキ…
あの時と
同じ音がする
あの時と
同じ
ジンが、好き…
あの時から
もぉ
ジンが好きだった