貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます【番外編追加しました】
 牡丹の庭からの扉が開いている。そこにいたのは、華やかな衣装を着た紅華だった。

「あ、天明様!」

 向こうも天明に気づいて、満面の笑顔をその顔に浮かべた。

「よかったあ。もうお休みになってしまったかもしれないと、ひやひやしながらここまで来たんですよ」

 天明には、駆け寄ってくる紅華の周りだけが、まるで昼になったかのように明るく見えた。その笑顔を見ただけで、自分の中の寂寥が霧散するのがはっきりとわかる。

(重傷だな)

 天明は、微苦笑した。

「お前、婚礼の儀に出てたんじゃないのか?」
 きらびやかな衣をひらめかせて、紅華は天明の前に立った。
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