貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます【番外編追加しました】
「もちろん出てましたよ。ちゃんとお二人にはお祝いの言葉を述べてまいりました」

「で、なんでここに? それに、その服……」
 紅華は、くるりと回って見せた。

「どうです? 素敵でしょう?」

 紅華が着ていたのは、金糸銀糸の刺繍を施した緋色の衣だった。後宮に来る際に紅華が着てきたそれは、本来なら、今夜は睡蓮だけに着ることが許される花嫁の衣装だ。貴妃といえど、紅華がこれをきて婚礼の席に出ることはできない。

「いや、そういうことではなく……」

「だって、私は『皇帝陛下』の妻ですよ? 今夜は皇帝の婚礼ですもの。私の衣装は、これでいいんです」

 それを聞いて天明は、は、とした。

「……似合いませんか?」

 反応の鈍い天明に、紅華は不満そうに口をとがらせる。拗ねてしまったその表情を見て、天明は、柔らかい笑みを浮かべる。
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