貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
 昨日の出来事は天明のせいではないのだから彼が詫びる必要などないと思うのだが、せっかく持ってきてくれたのだから、と、紅華は素直にその花をうけとった。

「ありがとうございます。これ、天明様が買ってきたんですか?」

「晴明の真似をして、そこの庭に咲いていたのを勝手に取ってきた。南の庭の牡丹園が、ちょうど見ごろだ」

「牡丹園があるのですか?」

「まだ見ていないのか?」

 むしろ驚いたように天明が言った。

「ここへきて日が浅いので、まだ後宮の中になにがあるのかまでは、よく知らないのです」

「ならちょうどいい。これから一緒に見に行こう」

「え? でも……」

「決まり。天気もいいし、行くぞ」

 勝手に話を進める天明に、紅華は戸惑う。

「そんな急に言われても……」

「見たいときに見に行くのが、一番きれいなときなんだよ。睡蓮は?」

「少し用を頼んでありますが、昼には戻りますわ」

「見つかるとまたうるさそうだ。早く出よう」

 そう言って天明は紅華の持っていた牡丹を卓の上に置くと、紅華を連れ出した。

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