貴妃未満ですが、一途な皇帝陛下に愛されちゃってます
(なんて強引な人なのかしら)

 なかば呆れながら二人で廊下を歩いていくと、前から来た女官たちがさっと道を空ける。

(ああ、晴明陛下だと思っているのね)

 そう思ってちらりと天明を見上げると、さっきまでの気楽な表情とは違って晴明然とした涼し気な笑顔を浮かべている。

「紅華殿?」

 ふわりと笑うその表情は、まさに晴明そのものだ。これでは、女官たちが晴明と誤解するのも無理はない。というより、天明はわざと誤解させているのだ。

 第二皇子とはいえ、男性が後宮を平気でうろうろするのはさすがにまずいのだろう。


「便利なお顔ですね」

 すましていれば、誰も天明とは気づかない。

 思うところあってそう言った紅華は、その言葉でほんの刹那、天明の表情がわずかに曇ったのを見逃さなかった。
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