骨なしチキン野郎って【中学生日記②】
 まさしく、リアル彼女だった。
 確かにそこに居るのは、いまオレの頭の中を駆け巡っていた奈緒ちゃんだ。

 どっ、どうしよう …… 
 以前なら「ようっ」と普通に声掛け出来たのに。
 一体、オレは何してる。こんなラッキーな偶然、そう無いぞ。

 この根性無し! 臆病者!
 本当、骨なしのチキン野郎だぜ。

 お地蔵さんみたいに固まり、動けなくなっているオレ。
 オレは、オレ自身を責め続けていた。

 その時だった。
 コンビニ店員の明瞭な大声で、オレは我に帰る。
 雑誌コーナーに居た彼女も、顔を振り返らせているのが、視界の隅で見えた。

「骨無しチキンのお客さま〜 大変お待たせしました〜」

 骨無しチキン……
 それオレです……


 彼女と視線が合った。
 先日と同じく、彼女は満面の微笑みを浮かべ、オレを真っ直ぐ見つめていた。


ー終ー
< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

夜中にコッソリ【日記みたいな】
nekojy/著

総文字数/1,647

実用・エッセイ(その他)6ページ

表紙を見る
シンクロニシティ【中学生日記】
nekojy/著

総文字数/2,987

青春・友情7ページ

表紙を見る
訳ありの檸檬【中学生日記】
nekojy/著

総文字数/3,744

青春・友情8ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop