骨なしチキン野郎って【中学生日記②】
 コンビニに来ていた。

「いらっしゃいませ〜 ただ今、チキン全商品が30円引きになっております」

 おっ、今日はツイているぞ。よし、2個 買っちゃおぅ。
 あれっ…… チキン無いじゃん。

「すぐに調理しますので5分ほどお時間頂けますでしょうか」

 オレは、隅のイートイン・コーナーで出来上がるのを待つことにした。

 それにしても、この先どうしたらよいものか。
 親しいクラスメイトから、恋人に昇格するための見えない壁。

 オレにとって、最も苦手とする障壁だった。意識すればするほど、頭の中がパニくる……

 しかし、この壁を越えなければ、先には絶対に進めない。
 考えれば考えるほど、厚く高くなって行く、壁がそこ立ちはだかっている……


「いらっしゃいませ〜」

 客が一人入ってきたらしい。
 店員の声に促されるように、オレは出入口のほうへ顔を向けた。

 ん? 気のせいか…… 

 もう一度、いま入ってきた客を見た。雑誌コーナーの方へ曲がって行ったその後ろ姿…… 
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