仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 だから今もそれを話すことはないし、これからもきっと話さないだろう。

 もし今回会う望月さんとの話を進めようとするなら、改めて丁重に断るつもりだった。

(いっそ向こうの方から断ってくれれば楽なんだけど)

 いい加減両親の暴走をまず止めるところからかと思ったそのとき、子供の泣き声が聞こえた。

(なんだ……?)

 どうせ時間を潰すつもりだったことから、声のする方へ向かってみる。

「――あの!」

 凛としたよく通る声を聞いた瞬間、時間が止まったような気がした。

 強い意思を感じさせる目に、今まで感じたことのない胸の高鳴りを覚える。

(きれいな人だな。それに、かっこいい)

 女性に対してかっこいいと思うのは間違っているかもしれない。

 けれど、素直にそう思った。

「は? なんだよ」
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