仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 ふふ、と笑った私に気付き、ふたりが頬を赤らめる。

 幸せそうだと思った。

 MARRYに来るお客様のこういうところを見て、少し前までの私は幸せのおすそ分けをさせてもらっているように感じていた。

 なのに今は、ほんの少しだけ胸がちくりとする。

(いいなあ)

 愛し合って結婚した男女ともなれば、こんな甘い空気を醸し出すのも当たり前だろう。家に帰っても私と和孝さんの間でこうなることはありえない。

 寂しい、という気持ちを顔に出さないよう、ふたりには笑顔を向ける。

「もしなにか質問などあれば、お伝えしたメールアドレスにご連絡ください。すぐに出られないかもしれませんが、それでもよろしければお電話でも構いません」

「ありがとうございます」
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