仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「和孝さんに連絡してみる。でも明後日まで、って考えると相当難しいと思うの。だからもしかしたらいい結果にならないかもしれない。それだけは理解しておいて」

「はい。こっちでも引き続き当たれそうな場所を探してみます」

「うん。もし進捗があったらすぐ連絡するから」

 世田くんは私にテーブルの写真を渡すと、スマホでどこかへ連絡しながら外へ出て行った。

 私も自分のスマホを手に、初めて和孝さんの番号へ電話をかける。

 時刻は正午を少し過ぎたあたり。副社長といっても昼休憩はあるはずだ。

 忙しい時分に噛み合っていないことを祈るばかりだった。

(お願い、和孝さん……)

 コール音が繰り返される。

 このまま出ないかと思ったそのとき、和孝さんの声が聞こえた。

『もしもし? 紗枝さん?』

(出てくれた……!)
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