仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「ごめんなさい、今大丈夫ですか?」

 声が少しうわずったのは、たぶん和孝さんが応えてくれたからだった。もしかしたらという不安が心のどこかにあったのだろう。

『ちょうど昼入ったところだから。なにかあった?』

「実は……」

 世田くんから聞いた話を手短に伝える。

「急な話で本当にごめんなさい。もしすぐテーブルを用意できるような会社の心当たりがあればと……」

『どんなテーブルなんだ? 写真、送れるか?』

「あっ、うん」

 電話をした状態で世田くんから渡された写真を撮影し、和孝さんのアドレスに転送する。

 そうしながら、胸がちりちりした。

(なんだか利用してるみたい)

 普段はまともに会話もできないくせに、困ったときだけ頼るというのがまだ私をためらわせている。
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