仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~

 週末、私はるんるん気分でサキさんとの待ち合わせ場所に到着した。

 会場の入口から受付に向かうまでの途中で待機し、壁際に寄る。

 今日出掛けることは和孝さんに言ってあった。

 家を出る際に苦笑いなのか、それとも違うのか、そんな微妙な顔で見送られたのを思い出す。

(なんだったんだろう?)

 ああいう表情は最近よく見るようになっていた。

 これまで意外と顔を見ていなかったのかもしれないと気付いたのは、そういう部分に目が向くようになったからだ。

 ちゃんと向き合っていなかったのだろうとしみじみ思う。

 表情の変化に気付くようになったということは、一応私も向き合おうとしているからかもしれない。

 展示会の会場はアンティーク市よりも小さかった。
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