仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 どさっという音がして女性が床に倒れ込んだ。私の足元まで彼女のスマホが転がってくる。

「大丈夫ですか?」

 慌てて拾い上げ、すぐ手を貸した。

「すみません、ありがとうございます」

「これ……。……あ」

 渡したスマホには画面に大きなヒビが入っている。

「もしかして今の衝撃で……?」

「私がぼうっとしていたのが悪いんです。すみません」

 女性がそう言うのは聞こえていたけれど、私はぶつかった男性を探すのに夢中だった。

(人のものを壊しておきながらひと言もなく立ち去るなんて)

 ぶつかった瞬間を見ていたこともあり、すぐにその男性の後ろ姿を発見する。女性を立ち上がらせてから足早に駆け寄った。

「すみません」

「なんですか?」

 振り返った男性は不審者を見るような目をしていた。
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