仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 じっくり注視していなかった新郎の後姿。私はこれによく似た背中を知っている気がする。

(あれ……?)

 止まるわけにもいかずひとまず進む。

 と、新郎のもとへ一段上がろうとした瞬間、ほかのことに気を取られすぎて足が引っかかった。

(やらかした――!)

 全身の血の気がさあっと引くのを感じながら、衝撃に備えて目を閉じる。

 でも、その瞬間はいつまで経っても訪れない。

 誰かが私を抱き留めてくれていた。

(――私、知ってる)

 どくんと心臓が高鳴った。

 階段で転びそうになったとき。――あの日も私を支えてくれた人がいた。

(嘘……)

 今も私を助けてくれたその人は、新郎として待っていた人だった。

「和孝さん……どうして……」

 驚きで声がかすれる。

 ようやく目が合った和孝さんは、私を助け起こしながら微笑した。

「サプライズ。してほしかったんだろ」
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